WECは、世界耐久選手権という自動車レースのシリーズのこと。World Endurance Championship の略で「WEC」と言われる。読み方は「うぇっく」とも「だぶりゅいーしー」とも呼ばれる。
フランス西部自動車クラブ(ACO)が組織し、世界自動車連盟(FIA)が運営している。
選手権は通常8−9戦で構成され、世界三大レースである「ル・マン24時間レース」がこのシリーズの中の1戦として組み込まれている。ル・マン24時間レースとセブリング1000マイルレース以外は、全て4〜6時間レースとなっており、日本では富士スピードウェイで富士6時間レースが開催される。
2018年シーズンは「スーパーシーズン」と銘打って、5月のスパ・フランコルシャン6時間で開幕し、2019年6月のル・マン24時間で最終戦となる。翌2019年からは、9月のシルバーストーン4時間で開幕し、翌年6月のル・マン24時間で最終戦を迎える年またぎの選手権となる。
大きく分けて以下3つの車両規定のクルマが混走するレースである。
LMP1
- 独自開発されたレース専用プロトタイプレーシングカーで、トヨタなどの自動車メーカー系ワークスやレーシングカーコンストラクターが参戦する。さらに電気動力と内燃エンジンを組み合わせたLMP1-Hybridと、ハイブリッドではないLMP1 non-Hybridの二種類の規定が存在しているが、クラスとしては分けられていない。
LMP2
- LMP1と同じプロトタイプレーシングカーであるが、市販レーシングカーと市販エンジンの組み合わせに限定されており、エンジンはギブソン製のみが使用可能。
LM-GTE
- 市販スポーツカーを競技車両に仕立てたクラス。プロドライバー対象のLM-GTE Proクラスとアマチュアドライバー対象のLM-GTE Amクラスが混走するが、LM-GTE Amクラスは1年以上の年式落ち車両を使用する。
LMP1、LMP2、LM-GTE Pro, Am の4つのクラスでそれぞれドライバーとチーム(製造者)の年間チャンピオンを争う。
F1と違い、長丁場のレースとなるので、1レースで1台のクルマを複数のドライバーが交代でドライブすることが義務付けられている。基本的に1台のクルマに乗るドライバー達はシーズンを通して固定されることが多いので、複数のドライバーが年間王者を獲得することになる。
2018-19シーズンは、フェルナンド・アロンソがトヨタからフル参戦、また2018年トロロッソからF1参戦しているブレンドン・ハートレーは、2012年から2017年までWECにフル参戦しており、2015年と2017年にLMP1クラスのドライバーズチャンピオンを獲得した。ハートレーは2019-20シーズンをトヨタからアロンソの後任として参戦する。
他にも元F1ドライバーが参戦することは多く、主なドライバーとしては、中嶋一貴(2012〜2018現在)、小林可夢偉(2013、2016〜2018現在)、ジェンソン・バトン(2018〜)などがいる。